税務調査

その(1)

今年も終わりに近づいてきましたが、当事務所にとって今年は税務調査のあたり年だったようです。といっても当事務所のお客様は優良でまじめな会社ばかりですので、短期で税務調査がはいることはほとんどなく、皆さん最低でも5,6年より以前に調査が来たところばかりです。

当然いい加減な経理は全くなく、ほとんどが是認です。

当事務所はお客様がコンピュータでご入力いただいたものをチェックして、内容を知りたいと思うものがあれば領収書・請求書または契約書等を見せて頂き、修正すべきものは修正をする。そしてそれを元に申告書を作成することをメイン業務としています。

今回のいくつかの調査で調査官が総勘定元帳をみて調査をするということは私が毎月または数ヶ月おきにしていることと同じだと思いました。

つまり、当事務所では毎月または数ヶ月おきに調査をしていることになります。勿論私共も人間ですし見落としや、税法についての考え方の違いで私のチェックに引っかからなかったものもあるとは思います。とはいえ、今回の調査でつくづく感じたことは調査官が資料を見せてほしいというもののうちほとんどのものが私が書類を見せてほしいと言ったものなのです。

お客様も同じように感じて頂いていたようですが、私がその都度質問した内容を調査官も知りたがりその資料を見せてほしいという話しがあるたびに私はうきうきしてしまいました。(不謹慎な発言かもわかりませんが、実際そう難じましたし、つい、にやっとしてしまいました。)

その(2)

今年もあと少しになってきました。税務調査の2,3の構想もそのままになってしまいました。でも出来れば今年中にアップしたいと思い、頑張ります!

今年の税務調査でちょっと異色のものがふたつありました。

その一つが以下の場合です。

いつもは黒字のお客様が今年に限って赤字になってしまいました。そして税務調査の連絡がありました。経理の方もとてもしっかりしている会社ですので全く問題はありませんが、以前の調査からもう6年ほど経っているので一般的に云えば時期的に調査があっても普通です。調査官の方から電話をいただいたとき、調査期間が3日というお話しでした。でも全く問題が無いはずですし資料もそろっていますので、出来れば1日にしてほしい、そして調査には全面的に協力すると伝えました。では出来るだけ早く終えるというお話しをいただき、調査の当日になりました。

非常に普通に調査は始まりました。まず、30分ほど調査官が社長に事業の概略を聞き、社長はそれで退席、そして経理の人と私で対応するという形でした。この会社は現金売上がほとんど無く、社長と経理の人が他人という事で、経費のチェックをすることになり、調査官は総勘定元帳をチェックし、必要な資料を探すように依頼する、そしてコピーが必要な時にはそのお願いをするという形で進みました。このとき資料を見せて欲しいと依頼を受けた資料の例として、外注費(HPの作成等の仕事で個人だと源泉税が必要)、高額な出金(経費として一度に計上出来るかどうか)等でした。これらのチェックは私がデータをお預かりした際にチェック済みのものですので、全く問題無くすすみ、昼休み前になってインターネット販売をするための入会金と1年分の費用として100万円ほどの仕訳が出てきました。私はほとんど覚えが無くぎょ!!としました。

そして昼休みです。その間、入会金が繰延資産でも、消費税の修正は無く、法人税も赤字ですので、申告書を出すだけで問題が無いからしかたないなあ~~と思っていました。

昼休みを終え、帰ってみますと、まずは調査官から「今回の調査はこの資料をいただけば終わりにします。」という事です。私はえっ!と思い、確認しましたが、確かに終わりというお話しでした。
そして私がドキドキの資料が出てきました。結果は入会金といえども15万円ほどで繰延資産としても20万円未満で問題なく、のこりも短期前払費用として扱うことが出来るので全く問題が無いことがわかりました。(本当にほっ!です。実際に私がこれをチェックしたかどうかは未だに覚えていませんが、もし、私のチェックが漏れていたとしても他のチェックで理由を経理の方に伝えてあるので、経理の方がちゃんと考えていただいていた可能性もあります。)

そして最後、お別れするときに私はお調子者ですのでついつい調子に乗って、「この地区にも他のお客様がおられるので、どこかでお会いするかもわかりませんね。そのときにはよろしくお願いします。」と云ってしましましたら、調査官の方がぼそっと「もう会いたくありません・・」とおっしゃいました。えっと思いましたが、調査官の方にまたどこかでお会いしましょうと云われるより良いかと思いました。

この調査では3日というお話しが半日になったことと最後にお会いしたくないと云われたことが私には異色でした。

その(3)

もう一つの場合が以下のものです。

この場合は調査官から2日というお話しをいただいていました。この会社も経理の方が非常にしっかりなさっているし、資料もちゃんとそろっているので私は前回と同じように1日で終えて欲しいとお願いしました。

そして同じように調査が始まりました。調査官は総勘定元帳をこの場合はすべてチェックしていました。この会社は一部輸出売上がありました。消費税法は基本的には課税売上(税金をかけないと云われている特別なもの、たとえば土地等)以外は消費税を払わなくてはなりませんが、ある一定の条件を満たす海外への売上については輸出として課税すべき資産の売上でも免税として消費税が免除されているものがあります。免除されていると云うことは消費税を払わなくても良いという事ですので、当然細かい規定があります。この資料を要求されました。

いくつかの資料のコピーを渡し、1日で調査は終わりました。

そしてその後が大変だったのです。まずは持っていった資料のなかで、情報提供者に対しての費用について聞かれました。これは個人でしたが、金額を決めて契約していたので何とか交際費にならなかったのですが、この費用をVISAで支払っていたので消費税上非課税では無いかという話がありましたが、電話ないし、FAXで対応し、結局認められました。

そして次は輸出免税です。一つは大使館で、資料がありましたのでそのまま問題なく大丈夫だったのですが、もう一つの海外の協会に対する費用が免税にあたらないという事でした。この内容は非常に専門的な話ですが、私が何人かの税理士に相談したときに一言の元に「そんなものは免税にならないよ!」と云われました。確かに微妙な問題でした。調査官も色々通達等を読んで勉強したというお話しでした。そして3週間ばかり経ったときに調査官はなんど聞いても色々調査中だから決まらないという返事でちょっと以前と雰囲気が違っています。色々な意見があるにしろ私としては輸出免税と主張出来ると思っていたので、これはあんまりだと思いました。そして社長と相談し最後の手段として「これが輸出免税にあたらないなら消費税を相手に負担してもらうか、消費税分会社で負担しなければならないならその金策もしておかなくてはならない。事業はそんなに待ってくれないのだから。」と云いましたら、その次の日に電話で是認の返事がありました。

この調査では、調査後の調査官とのやりとり、そして難しいグレーゾーンの場合に税法や通達に基づいて調査官を説得できるかを感じました。そして当たり前ですが、調査官も人だということです。

ではでは、皆様、良いお年をお迎えください~~

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