税理士らしい税法にかかわることも書いてみようかと。
2018年からNISAだけではなくつみたてNISAが始まりました。NISAとつみたてNISAの比較検討についてはネットにも多く存在しているので、当サイトでわざわざする必要はないと思います。
NISAとつみたてNISAに関しては、上場株式だと売買取引等に関する利益に掛かる所得税15%と住民税5%の役20%(復興特別税が15%に2.1%を乗じて上乗せされますので正確には20.315%となります)が引かれないものと考えて良いと思います。つみたてNISAでは株式の売買はできないということで、投資信託の売買のみになるのかな?
どちらも手数料は無料ですがつみたてNISAの信託報酬は掛かるみたいですね。そのあたりは税務と関係ないのでここでは触れずに、NISAとつみたてNISAがどちらが税務上有利なのかを考えてみました。
といっても、考えることもなくどちらも税金が掛かっていないのでNISAとつみたてNISAの比較では有利不利などない、というのが結論なのですが(笑)NISAの制度ができたのは、貯金から投資に!というスローガンのもとで税金が掛からない有利な制度を作ったものですから。
NISAの制度のお手本としたのはイギリスのISAというものなのですが、ISAは5年制限など無いし最初拠出金を使って購入した株式を売却して、その売却金を使って新たな株式を購入することもできます。ISAの方が貯金から投資に資金を流れると思うのですが…。NISAはなにかと制限が多い印象。
さて、では普通の投資とNISAを比べたら絶対NISAの方が有利なのでしょうか?2割の税金が掛からないのだから普通に考えたら有利に決まってますね。
ただNISAには普通の投資とは異なることがあって、譲渡損失が発生した時にNISA以外で発生した譲渡益と通算することができないのです。また、損失を繰越すこともできません。つまり損失が確定した時には、普通の投資では利益と相殺して所得税を少なくしたり損失を繰越して将来の利益と相殺することができるけど、NISAで取り引きしていたら何もできないと。
あとは配当についても、普通の投資であれば所得税の配当控除を受けることができますが、NISAでは配当控除も受けることができません。まあこれは元々非課税なので当たり前といえば当たり前なのですが(笑)
税務から見ると、まず利益となるか損失になるかによって有利となる投資が変わってきます。利益となる場合はもちろんNISAやつみたてNISAが非課税となるので圧倒的に有利です。ただ、損失となった場合は普通の投資の方が他の利益と相殺することができるし、その期に利益が無かった場合でも3年繰越ができるので、普通の投資が所得税を少なくできるという結論です。
ついでに言うと、所得税と住民税で異なる課税方式(総合課税・申告分離課税・申告不要)を選択することで同じ課税方式のままよりも有利になることがあります。これは個人によって異なりますし、住民税は国民健康保険料等の保険に大きく影響するので、異なる課税方式にするかどうかは慎重に検討した方が良いと思います。
やはりNISAは使い勝手があまり良くない印象(笑)